「オーバープロネーション」という言葉を聞いたことはありますか?
耳なじみのない人も多いかもしれませんが、ランニングやウォーキングの話題でよく出てくる言葉です。
外反母趾のリスクを高める要因の1つとも言われています。
オーバープロネーションにはメリットもあり、すべての人にとって悪いものではありません。しかし、多くの市民ランナーにとってはデメリットの方が大きいです。さらに、外反母趾の原因にもつながる可能性があります。
この記事では、オーバープロネーションの仕組みやメリット・デメリット、外反母趾との関係、そして対策について詳しく解説します。

オーバープロネーションとは?
プロネーションとは
プロネーション(回内)とは、足が地面に着地したときに、衝撃を吸収するために自然に足が内側に倒れ込む動きのことです。

反対に足が外側に倒れ込む動きを回外と言います。
回内の可動域は0度から20度、回外の可動域は0度から30度程度だと言われています。

ランニングやウォーキングでは、適度なプロネーションがあることで膝や腰への負担を軽減し、スムーズな動きを可能にします。
オーバープロネーションの定義
オーバープロネーションとは、この「プロネーション」が過剰になり、足が極端に内側に倒れ込む状態を指します。
一般的に 足のアーチが低い(扁平足)人に多く、走るたびに足首や膝に大きな負担がかかることがあります。
プロネーションの種類
プロネーションには「ニュートラル」「オーバー」「アンダー」と、3種類が存在します。
タイプ | 特徴 |
ニュートラルプロネーション | 適度に足が内側に倒れ、衝撃を吸収する |
オーバープロネーション | 足が過剰に内側に倒れ、負担が増大する |
アンダープロネーション | 足があまり内側に倒れず、衝撃が分散しにくい |
オーバープロネーションのメリット
「オーバープロネーション=悪」と思われがちですが、適度なオーバープロネーションには以下のようなメリットもあります。
衝撃吸収
オーバープロネーションは、足が着地する際に自然に衝撃を吸収する役割を果たすことがあります。足のアーチが低下することで、地面からの衝撃をより柔らかく受け止めることができる場合があります。

柔軟性
足が過度に内側に倒れることで、足の関節や筋肉が柔軟に動くことができ、特定の動作においては有利に働くことがあります。変化の多い地面や不安定な環境での運動において、柔軟性が役立つことがあります。またダンスなどでもスムーズな動きの役に立つことがあるそうです。。
オーバープロネーションのデメリット
しかし、オーバープロネーションが過剰になると以下のような問題が生じます。
怪我のリスクが高まる
オーバープロネーションは、足にかかる負担を増加させ、さまざまな怪我を引き起こす可能性があります。特に足底筋膜炎(足裏の痛み)、アキレス腱炎、シンスプリント(すねの痛み)などの障害が一般的です。
走行効率の低下
足が内側に過剰に倒れることで、エネルギーロスが大きくなります。また、ランニング時の姿勢に悪影響を及ぼし、全体的なバランスを崩すことがあります。これにより、他の筋肉や関節に不均等な負担がかかり、さらなる障害につながることも。
シューズの摩耗の偏り
オーバープロネーションの人は、シューズの内側が極端にすり減りやすくなります。
オーバープロネーションと外反母趾の関係
オーバープロネーションは 外反母趾の原因のひとつ とも考えられています。
なぜオーバープロネーションで外反母趾になる?
✅足の骨格の変形
オーバープロネーションが起こると、足首が内側に倒れ込み、足の骨の配列が崩れます。この状態では、親指(母趾)が他の指に向かって押し出される形になり、外反母趾が形成される原因となります。
✅ストレスの分配の不均衡
足のアーチが崩れることで、体重が足の内側に偏り、親指の付け根の骨に過剰なストレスがかかります。このストレスが、親指の関節を外側に押し出す力を強め、外反母趾を引き起こします。
✅筋力の低下
オーバープロネーションによって、足の筋肉のバランスが崩れることがあります。その結果、足のアーチを支える筋肉が弱くなり、足の安定性が失われることにより外反母趾のリスクが増加します。
これらの要因が組み合わさることで、オーバープロネーションは外反母趾の発生を助長します。
外反母趾になることを防ぐためにできること
外反母趾を防ぐための方法や、痛みを和らげる方法については、他の記事でも紹介しています。
オーバープロネーションのチェック方法
オーバープロネーション(過剰回内)を確認するためには、以下の方法が有効です。複数の方法を組み合わせることで精度が高まります。
✅ 靴底の減り方の確認
普段使用している靴(特にランニングシューズ)の内側(親指側)が異常にすり減っている場合、オーバープロネーションの可能性が高いです。
靴を平らな場所に置き、かかとの内側が傾いていないかも確認します。
✅ 動画や第三者による観察
ランニング中に真後ろから動画を撮影し、足首が内側に倒れ込む動き(過回内)がないかを確認します。
裸足で歩行・走行すると、足の動きがより明確に観察可能です。
✅ カードテスト
くるぶしの横にカードを縦向きで置き、立ち姿勢をとります。
カードが足首の内側に触れず隙間ができる場合、オーバープロネーションの傾向があります。
✅ 足跡テスト(ウェットテスト)
床に水で濡らした足を置き、足跡を確認します。
土踏まず部分がほとんど見えず、足裏全体が広く写る場合はアーチ低下(過回内の一因)が疑われます。
✅ 専門機関での計測
アシックスストアなどで提供される「AI画像解析サービス」で、ランニング中の足の動きを科学的に分析可能です。
整形外科や足専門クリニックでは、3D足圧測定器を使用した精密検査が可能です
オーバープロネーションの対策
適切なシューズを選ぶ
✅サポート性のあるシューズを履く
オーバープロネーションを防ぐには、足をしっかり支えてくれるシューズを選ぶことが大切です。特に、「モーションコントロールシューズ」や「安定性の高いランニングシューズ」などが有効です。
✅インソール(中敷き)を活用する
アーチをサポートするインソールを使用すると、歩行時やランニング時の足の負担を軽減し、正しい動きをサポートしてくれます。
足の筋力を強化する
✅足の筋肉を鍛えるトレーニングを行う
足首の安定性を高めるために、前脛骨筋(すねの前側の筋肉)や後脛骨筋(すねの内側の筋肉)を鍛えることが重要です。
カーフレイズ(かかと上げ運動)もおすすめです。かかとをゆっくり持ち上げて下ろす運動を行うことで、ふくらはぎの筋肉を鍛え、足首の内側への傾きを防ぐことができます。
ストレッチを習慣化する
✅足首やふくらはぎのストレッチを行う
筋肉の柔軟性が低下すると、歩行時のバランスが崩れ、オーバープロネーションの影響が大きくなる可能性があります。定期的なストレッチを取り入れることで、足の負担を減らすことができます。
体重管理を意識する
✅適正体重を維持する
体重が増えると、足への負担が増大し、オーバープロネーションの悪化につながる可能性があります。バランスの良い食事と適度な運動を心がけ、体重管理を意識しましょう。
専門家に相談する
✅整形外科や足専門の医師に診てもらう
もし、足や膝に痛みが続く場合は、専門医に相談することをおすすめします。症状に応じて、カスタムインソールの作成や物理療法などの適切な治療が提案されることがあります。
正しい歩き方・走り方を意識する
✅日常生活や運動時のフォームを見直す
歩行時やランニング時に、足が過剰に内側へ傾かないよう意識することも大切です。特に、長時間の歩行やスポーツを行う場合は、姿勢や足の使い方をチェックし、必要に応じてフォームを修正しましょう。
オーバープロネーションを放置すると、足や膝、腰に負担がかかり、痛みやケガの原因になります。しかし、適切な靴の選択や筋力トレーニング、ストレッチ、歩行フォームの改善などを意識することで、症状を軽減することが可能です。普段から足の状態に気を配り、健康な足を維持する習慣を身につけましょう。
まとめ
適度なプロネーションは衝撃を吸収し、スムーズな動きをサポートする大切な役割を果たします。しかし、過度なオーバープロネーションはケガのリスクを高めたり、外反母趾の原因になったりすることもあります。
自分の足の特徴を知り、適切なシューズやインソールを選ぶこと、足の筋力を鍛えることが重要です。特にランナーにとっては、オーバープロネーションを放置せず、早めに対策をとることで快適な走りを維持できます。今回紹介したチェック方法や対策を参考に、自分の足に合ったケアを心がけましょう!
コメント