フルマラソンの前は「カーボローディング」をするといい。ランナーなら一度は聞いたことがあると思います。でも、正しいやり方を知っている人は、意外と少ないのではないでしょうか。
「パスタを山盛り食べればいいんでしょ?」
「直前にたくさん食べておけば安心」
実はこれ、どちらも間違いです。やり方を間違えたカーボローディングは、効果がないどころか、体を重くしてレースの足を引っ張ります。
レース前の食事にはこだわりがある、まちすけです。運動ゼロから35歳で初フルマラソンを完走し、今では月300〜400km走りながらサブ3を目指す市民ランナーです。
実はカーボローディングには賛否があります。
先に私の立場をお伝えすると、私は肯定派で、レース前には毎回実践しています。
この記事では、カーボローディングの仕組みと、私が実際にやっている方法、そしてやりがちな失敗を紹介します。
難しい栄養学の話はしません。「3日前から何をどう食べるか」という実践の話だけを、シンプルにお伝えします。
そして最後にはカーボローディングの裏技も教えますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

カーボローディングとは|エネルギータンクを満タンにする食事法
カーボローディングとは、運動のエネルギー源となる糖質(グリコーゲン)を、通常より多く体に貯蔵させる食事法です。
グリコーゲンとは、食事で摂った糖質が筋肉や肝臓に貯蔵されるときの形のこと。
ランニング中は、これを燃料として消費しながら走ります。つまりグリコーゲンは、体に積んである「ガソリン」だと思ってください。
なぜフルマラソンで必要になるのか。数字で見ると分かりやすいです。
成人男性が体内に蓄えられる糖質エネルギーは約2,000kcalと言われます。一方、フルマラソンで消費するエネルギーは、体重60kgの人で約2,500kcal。
つまり、普通の状態でスタートすると、途中でタンクが空になる計算なのです。
だからこそ、スタート前にタンクを満タンにしておく。これがカーボローディングの目的です。

なお、効果的なのは90分を超える持久系競技で、短時間の運動にはあまり意味がありません。
よく言われる「30kmの壁」の正体のひとつが、このガソリン切れです。
30km付近でちょうど体内の糖質が尽きてきて、急に体が重くなり、脚が止まる。タンクを満タンにしてスタートすることは、この壁を遠ざけることにつながります。
逆に、10km程度のレースや1時間以内の運動なら、普段の食事のタンクで十分足ります。「フルマラソンやハーフ後半勝負のための技術」と覚えておけばOKです。
私のやり方|レース3日前から「置き換える」だけ
やり方はシンプルです。私は次のようにやっています。
- レース前3日間、おかずを控えめにして、その分ごはん・パン・麺など糖質の多い食事を増やす
- 総摂取カロリーは、いつもと変えない(ここが最重要)
- 目安は、1日の総摂取カロリーの70%以上を糖質で。増えた糖質の分だけ、脂質やタンパク質を減らして調整する
ポイントは「足す」のではなく「置き換える」ことです。
いつもの食事にごはんを足していくと、ただの食べすぎになって、体が重くなるだけ。量は変えず、中身を糖質に寄せる。これだけです。
具体的なイメージとしては、こんな感じです。
普段「ごはん1杯+おかず多め」の夕食なら、「ごはん1.5〜2杯+おかず少なめ」に。
揚げ物や脂っこいおかずを減らして、その分をごはん、もち、うどん、パスタなどに回す。
特別な食材は何もいりません。いつもの食卓の配分を変えるだけです。

ちなみに私は、レース前日の夜と当日の朝には、糖質を効率よく摂れる専用ドリンク(モルテンのドリンクミックス)で最後の仕上げをしています。このあたりのレース直前の補給は、補給ジェルの記事でくわしく紹介しています。
3日間の流れとしては、特別な段取りは必要ありません。3日前から同じ配分(おかず控えめ・糖質多め)を淡々と続けるだけ。日を追うごとに糖質を増やすといった細かい調整も、市民ランナーレベルでは不要だと私は思っています。
シンプルだから、続けられて、失敗もしない。それがこのやり方の良いところです。
あわせて意識したいのが水分です。グリコーゲンは水分と一緒に体へ蓄えられるので、カーボローディング中は水分もしっかり摂ってください。
レース前日に「トイレが近くなるから」と水を控える方がいますが、脱水気味でスタートするほうがよほど危険です。

なんだ、パスタを山盛り食べまくればいいのかと思ってたよ。

それが一番よくある勘違いなんだ。総量は変えずに、おかずをごはんに置き換えるイメージ。食べすぎたら、むしろ本番で胃が重くなるよ。
効果は「体」と「心」の両方にある
カーボローディングには反対派もいます。「効果に個人差がある」「普通に食べれば十分」という意見も、一理あると思います。
実際、体感には個人差があります。食事の内容が変わることで、お腹の調子が変わる人もいます。だからこそ、後述するように「本番の前に一度練習で試す」ことが大事になります。
それでも私が毎回やるのは、体のためだけではありません。「準備は全部やった」という精神的な安心感が、スタートラインで大きな支えになるからです。

フルマラソンは不安との戦いでもあります。やれることをやり切った状態で立つスタートラインは、それだけで価値があります。
42.195kmの後半、苦しくなったときに「準備してきたから大丈夫だ」と思えるかどうか。メンタルの支えは、時にエネルギーそのものと同じくらい効きます。
数日間、食事の配分を変えるだけでその支えが手に入るなら、やらない理由がない。それがフルマラソンを10回以上走ってきた私の結論です。
カーボローディングのNGパターン
- いつもの食事に糖質を「足して」食べすぎる
- 前日の夜に一気に爆食いする
- 揚げ物や脂っこいメニューで糖質を摂る
- ぶっつけ本番で初めて試す
- 体重が増えて慌てて直前に食事を減らす
それぞれ補足します。
① いつもの食事に糖質を「足して」食べすぎる
最重要ポイントの裏返しです。総カロリーを増やすと、胃腸の負担と体の重さになって返ってきます。おかずを減らして、その分を糖質に。あくまで「置き換え」です。
「せっかくだから多めに」という気持ちが一番の敵です。レース前は練習量を落としているので、消費カロリーもいつもより少なめ。普段より食べる理由は、実はどこにもありません。
② 前日の夜に一気に爆食いする
グリコーゲンの貯蔵は一晩では終わりません。だから3日間かけて、少しずつ糖質の割合を上げていくのです。前夜のドカ食いは、当日の胃もたれという最悪のお土産になります。
レース前夜は緊張と解放感で、つい食べたくなるものです。でも当日の朝、胃に残った重さを感じながらスタートラインに立つ辛さを想像してください。前夜こそ「いつも通りの量」を守りましょう。
③ 揚げ物や脂っこいメニューで糖質を摂る
カツ丼や天ぷらそばは、糖質と一緒に大量の脂質もついてきます。脂質は消化が遅く、胃腸に負担がかかります。ごはん、もち、うどん、パスタなど、シンプルな糖質を選びましょう。
「ゲン担ぎのカツ」を食べたい方は、レースの3日前より前に済ませておくのがおすすめです。願掛けと胃腸の調子、どちらも大事にできます。
④ ぶっつけ本番で初めて試す
食事を変えると、お腹の調子も変わります。本番のフルマラソンでいきなり試すのはリスクが大きいので、できれば練習のロング走や練習レースの前に一度試して、自分の体との相性を確かめておくと安心です。
おすすめは、30km走の前の3日間で予行演習をすること。距離への耐性づくりと、カーボローディングのリハーサルが同時にできて一石二鳥です。
⑤ 体重が増えて慌てて直前に食事を減らす
カーボローディング中は、体重が1kg前後増えることがあります。グリコーゲンは水分と一緒に蓄えられるためで、これは狙い通りの変化です。慌てて食事を削ると、せっかくのタンクが空に戻ってしまいます。
レース直前に体重計を見て「太った!」と焦る気持ちは分かります。でもその増加分は、脂肪ではなく燃料と水分。むしろ「タンクが満ちてきた証拠」と喜んでいいサインです。
カーボローディングの裏技
ここまでカーボローディングのやり方や注意点を説明してきましたが、そもそも「ここまでやるのは面倒だ」という人もいると思います。
そんな人のために、カーボローディングの裏技を教えます。
面倒なことは一切せず、モルテンのドリンクミックス320 を2本飲むだけ!
正直、これだけで十分な効果を得ることができます。
モルテン公式から出ている図解では、カーボローディングを行った上で、レース前日と当日朝に1本ずつ飲むように示されています。

この通りカーボローディングとモルテンを活用できれば理想です。
しかし、カーボローディングをするときに食べ過ぎて胃もたれを起こしてしまったり、そもそも食事の管理が難しかったりするときもあります。
そんなときは、このドリンクミックス320だけでもOK!実際、これだけでも十分に効果を感じることができるのでおすすめです!
まとめ|置き換えて、満タンでスタートラインへ

- カーボローディングは、レース前3日間・糖質70%・総カロリー不変の「置き換え」
- 効くのは90分超の持久系競技。フルマラソンとの相性は抜群
- 体重増は正常な反応。慌てない
- 初めては練習で試す
- 体の準備と同じくらい、「やり切った」という心の準備に価値がある
フルマラソンは、当日までに勝負の大半が決まっています。食事の準備も、その大事な一部。満タンのタンクで、気持ちよくスタートを切ってください。
練習で作った脚、シューズやウェアの装備、そして食事の準備。全部そろえて、あとは楽しむだけの状態でスタートラインに立ちましょう。準備の数だけ、当日の不安は減っていきます。


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