もっと楽に速く走れるようになりたい。
そのためにはピッチを上げればいいのだろうか?
それともストライドを伸ばせばいいのだろうか?
結局、どちらを意識して走ればいいのかわからない。
ランニングを初めてからしばらく経つと、こんな悩みを感じることがありますよね。
この記事に辿り着いた方なら尚更です。
こんにちは。まちすけです。10年以上の運動ゼロから走り始めて、今はサブ3を目指している市民ランナーです。
私も走り始めた頃に同じ悩みを持ちました。
日本や海外の男性トップ選手の走りを見ていると、ほとんどの方が広いストライドで力感なくスピードを上げていきます。

一方、女性トップ選手の中には高橋尚子さんのように速いピッチで世界一のランナーになる方もいます。
この記事を読めば、自分がどちらを目指すべきかがはっきりします。しかも、そのために筋トレも新しい道具も必要ありません。
結論から言うと、初心者やアラフォーから走り始めた方は、まずピッチを上げてください。ストライドは、当面は考えなくて構いません。
根拠は、私自身の実測データです。かつて初めてフルマラソン完走のための練習をしていたとき、ピッチを1分間に160から170〜180へ上げただけで、同じキツさのまま1kmあたり10〜20秒速くなりました。特別な練習をしたわけでも、走り込む量を増やしたわけでもありません。
その後もタイムが上がるたびにピッチは上がっていき、自己ベストの3時間2分14秒を出したときは190前半でした。この記事では、7年かけて、1キロ7分台から4分前半までペースを上げることができた私の経験と実測データをもとに、初マラソンから現在までのピッチを、タイムとあわせてすべて公開します。
読み終える頃には、自分が今どのくらいのピッチで走っていて、次に何歩を目指せばいいのかが分かるはずです。ストライドをいつ意識すべきかも、もう迷わなくなります。
結論|迷ったらピッチ
- 初心者・アラフォーランナーは、まずピッチを上げる
- ストライドは筋力がないと広げられず、疲労が早く来る
- 私の実測:初フル4時間24分で170後半 → サブ3目前で190前半
- ピッチを上げる方法は、BPMの速い音楽に合わせて走ること
- ストライドは練習で意識し、レース本番では意識しない
マラソンのスピードは「ピッチ(1分間の歩数)× ストライド(1歩の歩幅)」で決まります。どちらを伸ばしても速くはなりますが、私たちアラフォーが手をつけやすいのは、圧倒的にピッチのほうです。

ちょこちょこ走るより、大股のほうが速そうに見えるけどな。

見た目はね。でも大股は筋力を使うんだ。俺みたいに40代から走り始めた人間は、まずピッチを上げるほうが確実に効くよ。
2つの走法の違い
ピッチ走法とは
歩幅が小さく、足の回転数が多い走り方です。目安としては、1分間に180〜200回程度の着地とされていますが、絶対的な基準ではなく、身長、ペース、足の長さなどによって適正な値は変わります。
上下動が小さくなるため接地の衝撃が軽く、足への負担が少ないのが特徴です。エネルギー消費も抑えられるので、長距離向きの走り方だと言われています。
リズムに乗りやすいのも利点です。テンポよく走れるので速度の調整がしやすく、坂道やカーブでも体をコントロールしやすい。レース後半に疲労が溜まってからも、ペースを保ちやすくなります。
もう1つ見逃せないのが、故障のリスクです。着地の衝撃が小さいということは、膝や足首への負担も少ないということ。走り込む量を増やしていく段階では、この差が積み重なって効いてきます。
日本の有名選手では、高橋尚子選手や鈴木健吾選手がピッチ走法で知られています。

ストライド走法とは
歩幅が大きく、足の回転数が少ない走り方です。1歩あたりの距離が長いぶん、スピードが出しやすくなります。目安としては、1歩の幅が身長の90%以上とされています。
ストライド走法は心拍数の上昇を抑えやすいという利点もあります。足の回転数が少ないためです。
ただし衝撃や筋肉への負荷が大きく、強い脚が必要になります。
日本の有名選手では、野口みずき選手や大迫傑選手がストライド走法で知られています。
海外のトップランナーにストライド走法が多いのは、筋力的に恵まれているからかもしれません。

どちらが正解なのか
結論としては、どちらが正解ということはありません。大切なのは、自分に合ったピッチとストライドのバランスを見つけることです。
ただ、これは経験を積んだランナーの話です。走り始めたばかりの方や、私のようにアラフォーから始めた人間にとっては、選ぶべき道はもっとはっきりしています。
足の筋力に自信がなければ、まずピッチを上げる。これが私の答えです。ストライドを広げるには筋力が必要ですが、ピッチを上げるのに特別な筋力は要りません。
タイム別のピッチ実測
ここからが、この記事で1番お伝えしたい部分です。私自身のピッチを、タイムの変遷とあわせて公開します。
| 時期・レース | タイム | ピッチ(1分間) |
|---|---|---|
| 初フルマラソン(34歳) | 4時間24分 | 170後半 |
| 2回目のフル(サブ3.5達成) | 3時間24分 | 180後半 |
| 自己ベスト(2025年12月) | 3時間2分14秒 | 190前半 |
| ハーフマラソン(キロ3分50秒) | 1時間23分28秒 | 190後半 |
| 普段のジョグ | — | 170〜180 |
見ていただくと分かる通り、タイムが上がるにつれて、ピッチも上がっています。これは意識して上げた部分もありますが、ペースが上がれば自然と回転数も上がるという側面もあります。
走り始めた頃は160だった
走り始めた頃は、フォームなど何も考えていませんでした。キロ7分くらいのペースで、ただ淡々と走っていただけです。
転機は、河川敷や公園で走っているときでした。明らかに還暦を過ぎたベテランランナーの方々が、私を颯爽と抜いていくのです。そして彼らは、私よりもずっと速いピッチで足を動かしていました。
市民ランナーの多くがピッチ走法で走っている。そのことに気づかされた瞬間でした。
正直に言うと、それまではストライドを伸ばして颯爽と走るほうが速いのだと思い込んでいました。テレビで見る男性のトップランナーが、そういう走りをしていたからです。
ですが実際に自分の周りにいる市民ランナーの方は、ほとんどが私より速いピッチで走っていました。

これは頑張ってキロ6分半を切るくらいで走った日。2019年5月頃。
平均ピッチは163でした。(「ケイデンス」というのがピッチです)
170→180で20秒速くなった
キロ6分30秒で10km、20kmと走れるようになった頃、試しにピッチを上げてみました。
それまで1分間に160程度だったピッチを、意識的に170〜180へ。ストライドは少し縮めて、感覚的なキツさは変えないように調整しました。
結果、同じような疲労感のまま、キロ6分10〜20秒で走れるようになりました。1kmあたり10〜20秒の短縮です。この経験で、ピッチを上げる走り方が自分に合っていると確信しました。
特別な筋トレをしたわけでも、練習量を増やしたわけでもありません。足の回転を速くしただけで、これだけ変わりました。
なぜこうなるのか。
理屈としては、上下動が減ったぶんエネルギーの無駄が少なくなったからだと考えています。大股で走ると体は上下に大きく揺れますが、その上下動に使われるエネルギーは前へ進むためには役立ちません。
ピッチを上げて歩幅を狭くすると、この無駄が減ります。同じエネルギーで、より前へ進めるようになる。効率の良い走り方とはこういうことなのだと、身をもって理解しました。

2019年12月、初フルマラソンのさいたま国際マラソンのデータ。
平均ピッチは163でした。5月と同じくらいのペースでも、ピッチが上がっています。
ピッチの上げ方
BPMの速い音楽を使う
私が実際にやったのは、BPMの速い音楽を聴きながら、そのリズムに足を合わせて走るという方法です。
頭で「速く足を動かそう」と考えるより、音のリズムに乗るほうがはるかに簡単でした。意識しなくても、勝手に足がテンポに合っていきます。
どのくらいの期間で身についたかは、正直覚えていません。気づいたときには、無意識のうちにピッチが速くなっていました。それくらい自然に変わっていったということです。
目安としては、目指したいピッチと同じBPMの曲を選びます。180歩を目指すならBPM180の曲、という具合です。1歩ごとにビートが刻まれるので、体が勝手に合わせにいきます。
ただし、音楽を聴きながら走るのは周囲の音が聞こえにくくなるという危険もあります。交通量のある道路では音量を絞る、片耳だけにするなど、安全への配慮は必要です。大会によっては使用が禁止されていることもあります。
ちなみに私は、安定したピッチで走れるよう、自分で音楽を作ってしまいました。
若干誤差はありますが、170 , 180 , 190 のBPMになるように作ったプレイリストもあります。よかったらぜひ聴いてみてください!
ジョグから意識する
大事なのは、普段のジョグから意識することです。
ポイント練習のときだけ速く足を回そうとしても、身につきません。フォームは日々の積み重ねで固まっていくものなので、ゆっくり走っているときこそ意識する価値があります。
私の場合、今でもジョグのピッチは170〜180です。レースペースの190前半には届きませんが、この日常のリズムがあるからこそ、レースで自然に上げられるのだと思っています。
フォーム改善で失敗しがちなのが、レース本番でいきなり変えようとすることです。体に染み込んでいない動きは、疲れてくると必ず元に戻ります。だからこそ、普段の何気ないジョグの積み重ねが効いてきます。

速く走らないと上がらない
ただし、注意点があります。
ある程度スピードを上げないと、ピッチも上がりません。キロ6分台のジョグでピッチを190まで上げるのは現実的ではありません。実際にやってみれば分かると思いますが、足だけを無理に動かすことになり、とても疲れます。
ピッチとスピードはセットで考えてください。ペースを上げていくと、ストライドもピッチも自然と上がっていきます。そのときに、ストライドがより上がるのか、ピッチがより上がるのか が、ストライド走法とピッチ走法の違いです。
実際、ストライド走法と言われている大迫傑選手は、2018年のシカゴマラソンのデータによるとピッチは185程度でした。それでも、彼は1歩の幅が身長の107%もあるストライド走法なのです。

ストライドの扱い方
ではストライドは無視していいのか。そういうわけでもありません。使い分けが必要です。
練習でだけ意識する
私は流しやショートインターバルのときだけ、ストライドを広げることを意識しています。
流しというのは、全力の8割程度の力でフォームを意識して走る練習です。200mや400mのショートインターバルも同様で、短い距離だからこそフォームに集中できます。
こうした練習で意識しておくと、レースでは意識していないのに、無意識のうちにストライドが広がってくるのです。体が覚えてくれるという感覚に近いかもしれません。

レースでは意識しない
一方で、レース本番ではストライドをまったく意識しません。
理由は足がとても疲れやすいからです。
練習中に、自分にあったピッチとストライドを見つけるために、いろいろ試してみました。先ほども書いた通り、いつもより意識してピッチを上げると同じキツさでペースが上がりました。一方、いつもより意識してストライドを広げると、ペースは上がるものの、早々に足への疲労が溜まってしまったのです。
ピッチはコントロールしやすい要素です。意識すればすぐに変えられますし、負担も少ない。対してストライドは、意識した瞬間に足への負担が増えます。42.195kmという距離では、この差が後半に効いてきます。
ストライドは練習で広げ、本番では意識しない。これが今の私の結論です。

レベル別の考え方
走力によって、意識すべきポイントは変わります。
完走が目標なら
初めてのフルマラソン完走を目指す方は、ちょこちょこ走りを意識するだけで十分です。ストライドのことは、いったん忘れてください。
歩幅を狭くして、足の回転を速くする。それだけで足への衝撃が減り、後半まで脚を残しやすくなります。完走を阻む最大の要因はレース終盤の脚のダメージなので、ここを軽くできるのは大きな武器です。
参考までに、私が初マラソンを4時間24分で完走したときのピッチは170後半でした。特別に速い数字ではありません。この程度で十分だということです。
初心者の方が大股で走ろうとすると、たいてい着地が体より前になります。すると足はブレーキとして働き、衝撃も大きくなる。速く走ろうとしているのに、実際には減速しながら脚を痛めているという、1番報われない状態です。
歩幅を狭くして、体の真下に足を置く。これを意識するだけで、この問題はかなり解消されます。

サブ4・サブ3.5なら
タイムを狙い始めても、しばらくはピッチ重視で問題ありません。
私が2回目のフルマラソンでサブ3.5を達成したときのピッチは、180後半でした。初マラソンから10歩ほど上がっただけで、タイムは1時間近く縮まっています。
この層でストライドを広げようとすると、たいてい失敗します。まだ脚の筋力が追いついていないからです。ピッチを上げることに集中したほうが、確実に結果につながります。

サブ3を狙うなら
ここからは事情が変わってきます。
スピードのあるランナーたちは、ちょこちょこ走りではなく、ダイナミックなフォームで力強く進んでいきます。サブ3.5まではピッチ走法で対応できますが、サブ3となるとある程度のストライドも必要だと感じています。
とはいえ、いきなりストライド走法に変えるわけではありません。ピッチを維持したうえで、ストライドを少しずつ伸ばしていくという発想です。詳しくはサブ3挑戦記でも触れています。
順番が大事です。まずピッチで走れる土台を作り、そのうえでストライドを足していく。逆にストライドから入ってしまうと、脚が持たずに後半で崩れます。私自身、レースでそれを試して失敗しました。

ピッチ190後半から先の課題
いま私が直面しているのが、この問題です。
自己ベストの3時間2分14秒を出したときのピッチは190前半でした。ではサブ3を達成するために、ここから200まで上げるべきかというと、そうは考えていません。
190から200へ上げるのは、現実的ではないと感じています。回転数には限界がありますし、これ以上速く足を動かそうとすると、フォームそのものが崩れてしまいます。
ここから先は、同じピッチのまま、自然とストライドが伸びてくることを目指しています。そのために、流しやショートインターバルで脚の出力を上げる練習を続けているわけです。
ちなみに、あくまでもこれは私の場合です。200まで上げてもスムーズに走れる方もいます。
とはいえ、ピッチ走法には天井があります。その天井に近づいたとき、初めてストライドの出番が来る。この順番を間違えないことが大事だと思っています。

2025年12月、フルマラソン3時間2分の自己ベストを出した日のデータ。
前半のピッチは190前半で、後半にかけてピッチが落ちています。
撃沈時にピッチが落ちる
もう1つ、実測データから分かった重要なことをお伝えします。
レース後にApple Watchのデータを見返すと、後半に撃沈しているときほど、ピッチが落ちているのです。これは私に限らず、多くの人に当てはまると思います。

2024年12月、フルマラソン3時間6分で完走したレース。後半第失速した日。
後半のピッチの落ち方が激しい。
ここで解釈が2通りあります。ピッチが落ちるからペースが落ちるのか、ペースが落ちるからピッチが落ちるのか。
私の感覚では、後者です。足が重たくなって、どうしてもペースの低下を受け入れざるを得ないとき、結果としてピッチも落ちていきます。
ですが、ペースが落ちてきたときこそ、ピッチを落とさないよう意識するのです。そうすると、私の経験上ペースの大幅なダウンを防ぎやすくなります。
後半に脚が売り切れると、どうしても歩幅は狭くなります。それは仕方がない。ですがそこで足の回転まで落としてしまうと、ペースは一気に崩れます。歩幅が狭くなった分を回転で補うイメージです。
これはレース中に実践できる、数少ない具体的な対処法だと思っています。
ピッチの測り方
自分のピッチを知らないことには、上げようがありません。測り方をお伝えします。
私はApple Watchを使っています。ランニング中、腕時計の画面にリアルタイムでピッチが表示されるので、走りながら確認できます。
走り終わったあとは、iPhoneの標準アプリ「フィットネス」で振り返ります。1kmごとのペースと一緒に、ピッチの推移も確認できるので、どこで落ちたのかが一目で分かります。
走りながら見るのと、走ったあとに見るのとでは役割が違います。走行中はその場で修正するため、走行後は自分の傾向を知るためです。両方やると、フォームの理解が一気に深まります。
時計を持っていない方は、30秒間の歩数を数えて2倍する方法でも測れます。正確さは劣りますが、自分がおおよそ何歩なのかを知る分には十分です。まずは今の数字を把握することから始めてください。
なお、ストライド(歩幅)は計測できません。私が使っている環境では表示されないので、ピッチとペースから逆算して感覚を掴んでいます。
時計選びについてはランニングにApple Watchを選ぶ7つの理由に、私が7年使ってきた実感をまとめました。ピッチを測れる機能は、フォーム改善において本当に役立ちます。
数字が見えるようになると、フォームの改善は一気に進みます。感覚だけで走っていた頃には戻れません。フォーム全般の考え方は外反母趾ランナーのフォーム改善でも触れています。

まとめ|まずはピッチを上げる
この記事の要点をまとめます。
- アラフォーから始めた市民ランナーは、まずピッチを上げる
- 私の実測:初フル4時間24分=170後半/サブ3.5=180後半/サブ3目前=190前半
- ピッチを上げる方法はBPMの速い音楽に合わせること。ジョグから意識する
- ストライドは流しやショートインターバルで広げ、レースでは意識しない
- サブ3.5まではピッチで対応できる。サブ3からはストライドも必要になる
- ペースが落ちてきたときこそ、ピッチを落とさない
ストライドを広げるには筋力が要りますが、ピッチを上げるのに必要なのは意識だけです。だからこそ、私たちアラフォーランナーにとって、1番手をつけやすい改善策なのだと思います。
まずは自分の今のピッチを測ってみてください。そこから10歩上げるだけで、走りが変わるかもしれません。
フォームが整ってきたら、次は練習の組み立てです。あわせてこちらもどうぞ。


コメント