レースまであと1週間。ここまで来ると、やれることはほとんど残っていません。
まちすけです。フルマラソンは10回以上完走してきて、毎年12月に自己ベストを更新しています。
そして毎回、レース前の1週間で意識しているのはやることを増やさないということです。不安になって練習を追加したり、新しいものを試したりするのは、ほぼ確実に裏目に出ます。
私自身、直前に走りすぎて疲労が残ったまま当日を迎え、15kmで足が痛くなったことがあります。朝食を食べすぎて、気持ち悪いまま走ったこともあります。
この記事では、私が実際にやっているレース1週間前からの過ごし方を、練習・睡眠・食事・体調管理に分けてお話しします。初心者の方向けの調整方法も、あわせて紹介します。
レース全体の準備の流れはフルマラソン初心者の完走ロードマップにまとめています。この記事は、その中の「直前1週間」を詳しく掘り下げたものです。

結論|疲労を抜いて備える
先に要点をまとめます。
- 2週間前から練習量を落とす。頻度とスピードは変えず、距離だけ減らす
- 2週間前からは8割、1週間前からは5〜6割の量に
- 睡眠が1番大事。目標は8時間
- 1週間前から生ものと食物繊維を避ける
- 新しいことは絶対に試さない。ギアも練習も、慣れたものだけ
この時期にやるべきなのは、体力を増やすことではなく、溜まった疲労を抜くことです。ここまでの積み重ねを、当日に出し切れる状態へ持っていく期間だと考えてください。

直前って、逆に不安で走りたくならない?

なるよ。でもそこで走ると失敗する。俺も1度やって痛い目を見た。直前の練習で強くなることはないんだ。
2週間前から量を落とす
まずは練習の調整からお話しします。
距離だけを減らす
私はレース2週間前から練習量を落とし始めます。ポイントは、減らすのは距離だけということです。
走る頻度も、スピードも変えません。毎日走っているなら毎日走りますし、ポイント練習も入れます。ただ、1回あたりの距離を短くしていきます。
頻度を落とすと、体が走る動きを忘れてしまいます。スピードを落とすと、レースペースの感覚が鈍ります。だから、そこは維持したまま、総量だけを減らすという考え方です。
目安としては、2週間前からの1週間は普段の8割、1週間前からは5〜6割まで落とします。数字にしておくと、迷わずに済みます。

直前1週間のメニュー
参考までに、私が実際にやっている直前1週間のメニューを公開します。
| 曜日 | 練習内容 |
|---|---|
| 日曜日 | 20km(ジョグより速い、楽なペース) |
| 月曜日 | 5kmジョグ |
| 火曜日 | 5kmジョグ |
| 水曜日 | ペース走 レースペースで8km程度 |
| 木曜日 | 5kmジョグ |
| 金曜日 | 3kmジョグ+流し100m×4本 |
| 土曜日 | オフ |
| 日曜日 | フルマラソン本番 |
ただしこのメニューは初心者の方にはきつすぎます。サブ3を目指して普段から月300〜400km走っている前提の内容なので、そのまま真似しないでください。
意図としては、水曜日にレースペースを一度体に思い出させ、金曜日の流しで動きを整え、土曜日は完全に休むという流れです。負荷をかけるのではなく、感覚を保つための練習だと考えています。
初心者はもっと軽くていい
初めてフルマラソンに挑む方の場合は、もっとシンプルで構いません。
直前1週間は、すべて軽めのジョグで十分です。距離も3〜5km程度、息が上がらないペースで。むしろ金曜と土曜の2日間をオフにするくらいでちょうどいいと思います。
初心者の方がこの時期に距離を踏んでも、当日までに回復が間に合いません。走力は数日では上がりませんが、疲労は数日で確実に残ります。
ここまでの練習の積み上げ方については運動ゼロのアラフォーが初フルマラソンを完走した練習法に書きました。直前1週間は、そこで作った体を休ませる期間です。

刺激入れはやめた
以前は、前日に「刺激入れ」をしていました。1kmをレースペースよりやや速く走って、体を目覚めさせるという調整方法です。
ですが最近はやめました。理由は単純で、やらないほうが疲労が抜けて調子が良いと感じるようになったからです。
刺激入れが有効な人もいると思いますし、否定するつもりはありません。ただ、私の場合は前日を完全に休みにしたほうが、当日の体が軽く感じられました。
こういう部分は、練習レースで試して自分に合うかどうかを確かめるのが1番確実です。本番でいきなり変えるものではありません。

睡眠が最優先
直前1週間で最も重視しているのが睡眠です。正直、練習内容より大事だと思っています。
目標は8時間
レース1週間前からは、8時間睡眠を目標にしています。
とはいえ現実には、仕事や生活の都合で7時間程度しか眠れないことも多いです。それでも目標を8時間に置いておくと、意識して早く布団に入るようになります。
睡眠は、疲労回復と体調管理を同時に叶えてくれる唯一の手段です。どんなサプリメントよりも、どんなケアよりも効きます。ここを削ると、他の努力が台無しになります。

前日に眠れなくても大丈夫
よく聞かれるのが、前日に緊張して眠れないという悩みです。
私の場合、眠れる日と眠れない日が半々くらいです。何度も出ているレースでも、前の晩に目が冴えてしまうことがあります。
ただ、そこで焦る必要はありません。眠れなくても、目をつむって布団に入っているだけで疲労は回復します。「眠らなければ」と考えるほど眠れなくなるので、横になっていれば十分だと割り切っています。
むしろ大事なのは、レース1週間を通してしっかり眠ることです。前日1日だけ寝不足でも、それまでの6日間が足りていれば大きな問題にはなりません。

1週間前からの食事
食事については、カーボローディングの話が有名です。
糖質を増やす具体的なやり方はカーボローディングのやり方にまとめているので、ここではそれ以外に気をつけていることをお話しします。
生ものと食物繊維を避ける
レース1週間前から、私は生ものと食物繊維を避けます。
生ものは、お腹を壊すリスクがあるからです。刺身や生卵など、普段は問題なく食べているものでも、この時期だけは口にしません。当たってしまえば、それまでの数ヶ月がすべて無駄になります。
食物繊維を避けるのは、消化に負担がかかるためです。ふだん玄米を食べている私も、レース1週間前は白米や餅に切り替えます。卵も必ず火を通します。
健康的な食事と、レース前の食事は別物だという発想です。腸に負担をかけず、消化の良いものを選ぶ。それだけで当日の安心感がまったく違います。

前日の夕食は19時まで
前日の夕食で意識しているのは、時間です。
19時くらいまでには食べ終えるようにしています。就寝までに消化を進めておきたいからです。避けるものは1週間前からと同じで、生ものと食物繊維の多いものは口にしません。
外食は基本的にしません。何が入っているか分からないものを、この時期に食べたくないからです。ただ、遠征でレースに出る場合は例外で、コンビニのおにぎりで済ませることが多いです。
前日に豪華なものを食べたくなる気持ちは分かりますが、ごちそうは完走後に取っておきましょう。前日の食事は「安全第一」で選ぶのが正解です。

当日の朝は3時間前まで
レース当日の朝食は、スタート3時間前までに食べ終えるようにしています。
メニューはとてもシンプルです。
- 餅2つ
- 味噌汁
- 納豆
これだけです。消化が良く、糖質と塩分が摂れて、胃に残らない組み合わせを毎回繰り返しています。
そして朝食のあとは、モルテンのドリンクミックスをレース1時間前までちびちび飲むという流れです。固形物ではなく液体でエネルギーを足していくイメージで、これなら胃に負担がかかりません。
補給食の選び方や、私がモルテンに落ち着いた理由は補給ジェルの選び方に書いています。

体調を崩さない工夫
どんなに練習を積んでも、当日に体調を崩していたら意味がありません。ここは意外と軽視されがちな部分です。
1ヶ月前から予防を徹底
私はレース1ヶ月前から、手洗い・うがい・消毒・マスク着用を徹底しています。
大げさに思われるかもしれませんが、フルマラソンは年に数回しか走れません。1回のレースのために何ヶ月も準備してきたことを考えれば、直前に風邪をひくリスクは可能な限り減らしておきたいところです。
特に冬のレースは、インフルエンザなどが流行する時期と重なります。人混みを避ける、体を冷やさないといった基本的なことの積み重ねが効いてきます。
そして結局のところ、1番の体調管理は睡眠時間を削らないことです。免疫を保つうえで、これに勝る方法はないと感じています。

マッサージは3日前まで
疲労を抜く手段として、マッサージを利用する方もいると思います。
私はレース3日前にマッサージへ行くことにしています。軽めであれば、体が楽になって当日に良い状態で臨めるからです。
ただし注意点があります。マッサージのあとに違和感が出ることもあるということです。強く揉まれると、かえって筋肉が張ってしまうケースもあります。
普段からマッサージに通い慣れていない方は、レース前に初めて行くのはやめておいたほうが無難です。施術後の違和感やだるさが残れば、せっかく抜いた疲労を別の形で増やすことになります。試すなら本番前ではなく、練習期間中にしてください。

直前にやってはいけないこと
ここからは、レース前の1週間で避けるべきことを挙げます。どれも、やってしまいがちなものばかりです。
- 不安になって新しい情報を探す
- 新しいギアを使う
- お酒を飲む
- 目標タイムを上方修正する
それぞれ説明します。
① 不安になって新しい情報を探す
レースが近づくと、どうしても不安になります。私も毎回そうです。
そして不安になると、YouTubeやSNSでランニングの情報を漁り始めます。「もっと良い方法があるのではないか」「自分のやり方は間違っていたのではないか」と考えてしまうのです。
ですが、今までやってきたことを変えないのが1番です。直前に得た知識で走り方を変えても、体はついてきません。むしろ動きがちぐはぐになって、パフォーマンスが落ちます。
情報収集は、レースが終わってからにしましょう。次のレースに向けた改善点として活かせば十分です。この1週間は、これまでの自分を信じる時間だと考えてください。

② 新しいギアを使う
これは絶対に避けてください。シューズ、ウェア、ソックス、補給食。どれも、使い慣れたものだけを使います。
新品のシューズは、足に当たる場所が分からないまま42.195kmを走ることになります。新しいウェアは、擦れる場所が読めません。どちらも、後半に致命傷になります。
特に危険なのが補給食です。私はこれで一度失敗しました。練習で試したことのないジェルを本番でいきなり使い、口に合わずに気持ち悪くなって、以降は吐き気と戦いながら走ることになりました。
補給食は体調によっても感じ方が変わります。必ず練習で試してから本番に持っていってください。詳しくは補給ジェルの選び方に書きました。

③ お酒を飲む
私はもともとお酒を飲まないのですが、飲む方は1週間前から禁酒することをおすすめします。
アルコールは睡眠の質を下げます。寝つきが良くなったように感じても、深い眠りが減るため、疲労回復という点ではマイナスに働きます。
さらに、脱水を招きやすいという問題もあります。レース当日に向けて体に水分を蓄えておきたい時期に、わざわざ利尿作用のあるものを摂る必要はありません。
率直に言って、レース前の飲酒は良いことが1つもありません。完走後のビールを楽しみに、1週間だけ我慢する価値は十分にあると思います。

④ 目標タイムを上方修正する
調子が良いと感じたときほど、注意が必要です。
目標タイムの上方修正は、基本的にしません。練習でイメージしていたペース以上のものは、本番で出ないと考えているからです。
調整期間は練習量を落としているので、体が軽く感じられます。それを「調子が良い」と勘違いして目標を引き上げると、たいてい後半で撃沈します。
逆に、下方修正はためらわずにやります。体調が悪いとき、天候が厳しいとき、目標を下げる判断は勇気ではなく戦略です。フルマラソンは欲張ると、体力的にもタイム的にも地獄を見ます。

私がやらかした失敗
ここからは、私が実際に経験した失敗を紹介します。どれも、防げたはずのものばかりです。
① 豚汁を食べすぎた
レース当日の朝、前日に作った豚汁を食べすぎたことがあります。
結果、スタートまでに消化が終わらず、気持ち悪い状態で走る羽目になりました。胃に食べ物が残っている感覚があると、呼吸も走りもうまくいきません。
豚汁は具だくさんで、食物繊維も脂質も多い料理です。今思えば、レース当日の朝に食べるものとして最悪の選択でした。おいしかったので、つい食べすぎてしまったのです。
この失敗以来、当日の朝は餅と味噌汁と納豆に固定しています。毎回同じものを食べていれば、消化にかかる時間も体の反応も読めるようになります。

② 不安で走りすぎた
直前に練習量を増やしてしまったこともあります。
「本当にこの練習量で足りているのか」という不安から、調整期間なのに走り込んでしまいました。走っている間は安心できるのですが、体には確実に疲労が溜まっていきます。
当日は、15kmあたりで足が痛くなり、そこから後半は大幅にペースを落とすことになりました。疲労が抜けていない状態でスタートラインに立つと、こうなります。
直前の練習で強くなることはありません。この時期に走ることで得られるのは安心感だけで、失うのは回復の時間です。割に合わない取引だと、身をもって学びました。

③ 下方修正しなかった
調子が悪いのを自覚していながら、目標タイムを変えなかったこともあります。
スタート前の時点で、体が重いことは分かっていました。それでも「せっかくここまで準備したのだから」と、当初の目標ペースで走り始めてしまったのです。
中間点までは、なんとか目標ペースを維持できました。ですがその後は当然のように失速し、後半は完全に撃沈しました。
目標を下げるのは、逃げではありません。その日のコンディションに合わせて走り方を選ぶのは、経験を積んだランナーの判断です。無理に押し通すと、結果的にもっと悪いタイムになります。

④ 下り基調で飛ばした
スタートから下り基調のコースで、気持ちよく飛ばしすぎたこともあります。
下り坂は、同じペースでも楽に感じます。しかも序盤はアドレナリンが出ているので、「今日は調子がいい」と勘違いしてしまうのです。
ですが下りは、脚へのダメージが平地より大きくなります。序盤に貯金を作ったつもりが、実際には脚の筋肉を先に使い果たしていただけでした。案の定、後半で撃沈しました。
コースの高低差は、事前に必ず確認しておきましょう。下りが多いコースほど、序盤を抑える意識が必要になります。

緊張との付き合い方
最後に、メンタル面についてお話しします。
私の考えは、緊張はすればいいというものです。緊張しないようにと考えるほど体は固くなりますし、「緊張なんてしていない」と自分を誤魔化すのもよくありません。
緊張してきたら、これまでの準備を思い出すようにしています。何ヶ月も走ってきた、距離走もこなした、シューズも補給も試した。それだけやってきたのだから大丈夫だ、と。
そしてこれでダメなら仕方ないと開き直ります。ここまで来たら、あとは出し切るだけです。

完走できなくてもいい
もう1つ、初めてフルマラソンに挑む方に伝えたいことがあります。
失敗しても構いませんし、完走できなくても構いません。学生の部活動ではないので、次のチャンスはいくらでもあります。
そもそも、フルマラソンに挑戦しようと決めて、何ヶ月も準備を続けてきた時点で、十分にすごいことです。多くの人は、そこまでたどり着きません。
スタートラインに立てただけで、それは価値のあることだと私は思っています。結果はその日の運もありますが、準備を積み上げた事実は消えません。

初心者が1番陥りやすい罠
最後に、初フルマラソンで最も多い失敗をお伝えします。
前半のオーバーペースによる後半の撃沈です。多くの人が、テンションが上がって、予定より速いペースで入ってしまうのです。
スタート直後はアドレナリンが出ているので、体が軽く感じます。「このままいける」と勘違いしてしまう。ですが30km過ぎに、必ず地獄が待っています。最後は歩いてなんとかゴールする、というパターンが本当に多いです。
私は初フルマラソンのとき、走りながらずっと自分に言い聞かせていました。「絶対に欲張らない」「これ以上ペースを上げない」「頑張らない」と。
その結果どうなったか。30km過ぎからペースを上げて、気持ちよく完走することができました。目標だったサブ5に対して、4時間24分でのゴールでした。
序盤を我慢できるかどうかで、フルマラソンの後半はまったく違うものになります。これだけは、覚えておいてください。
まとめ|信じて休む
レース1週間前からやるべきことを、もう一度整理します。
- 2週間前から練習量を落とす。頻度とスピードは維持し、距離だけ減らす
- 2週間前は8割、1週間前は5〜6割。初心者は軽いジョグだけで十分
- 睡眠は8時間を目標に。前日眠れなくても、横になっていれば回復する
- 1週間前から生ものと食物繊維を避ける。前日の夕食は19時まで
- 当日の朝はスタート3時間前まで。餅・味噌汁・納豆など消化の良いものを
- 新しいギア、新しい情報、お酒、目標の上方修正はすべてNG
- 緊張はしていい。スタートラインに立てただけで価値がある
この1週間でやるべきことは、新しく何かを足すことではなく、これまでの積み重ねを信じて休むことです。
不安になるのは、それだけ真剣に取り組んできた証拠です。その気持ちは、当日の力に変えましょう。
過ごし方が決まったら、次は当日の準備です。あわせてこちらもどうぞ。

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